『スランプかな?』  12/01 No.3


 
今、一生懸命に頑張っているのに、弁護士になかなか認めてもらえないと思っていませんか?
 そんなときは、貴方の頑張りが、どの方向を目指しているのかを冷静に考えてみてください。
 私たちパラリーガルは、弁護士の手足として雇用されています。弁護士に手足が何本もあれば、多分その事務所にパラリーガルは不要です。
 パラリーガルの仕事を絵を描くことに例えてみましょう。
 弁護士から「山を描いて」と指示されます。弁護士の意向を即座に読み取ることができるパラリーガルは、弁護士だったらこのような山を描くのではないかと考えて、2、3の質問をして山を描き始めます。
 しかし、弁護士の意向を読み取ることが出来ないパラリーガルは、一つ一つ質問をしてしまいます。形は?色は?時間帯は?風景は?季節は等々。
 時には、弁護士に全く質問をせずに、その山に山小屋があったり、噴火口があったりする山を提出する人もあります。
 何度も言いますが、私たちの仕事は弁護士の意向に沿った山を短時間で確実に描けるかというものです。自分の主観は不要です。
 ですから、どんなに素晴らしい山を描いても、弁護士の意向に沿っていなければ、使い物にならないのです。

 時々、弁護士の意向を全く読み取る気のない人がいます。その人は人一倍頑張っています。ただ、その頑張る方向が弁護士に向いていないのです。では、誰に向いているかというと、自分自身に向いているのです。
 自分は仕事ができるんだ!自分には知識があるんだ!弁護士がそれを全く分かってくれない!自分の話を理解してくれない!と不平不満になってしまいます。結局、この職員は自分のことしか考えていないのです。
 法律事務所はその中核である弁護士の意向によって成り立ちます。ですから、全ての考え方が弁護士のためという方向に向っているのはあたりまえです。弁護士のため=事務所のため=依頼者のためなのです。残念ながら、職員のためではありません。弁護士が職員のことを理解することはまず無いと言っておきます。では、この職員は自暴自棄になって退職するのか・・それは本人次第です。他人の意向を読み取るということも、りっぱな能力ですので、能力不足として解雇される可能性もあります。特に弁護士事務所では、依頼者をはじめ様々な人の意向を理解しなければなりません。これができない人または、する気がない人はパラリーガルには向いていないのかもしれません。
 しかし、対処策が全く無いというわけでもありません。1年間弁護士のためだけを考えて仕事をしてみてください。弁護士のため=事務所のため=依頼者のためという流れが生じてくると、弁護士が少しずつ変わってきます。というより、自分の考え方が変わって弁護士に対する考え方が変わってきます。今までの不平不満が消えます。不思議な現象です。そうなると重責のある仕事をまかされるようになるはずです。そして、弁護士のため=事務所のため=依頼者のため=職員のためという図式が完成します。
 自分を理解させる方法は、まず相手を理解するしかありません。どんなに自己アピールしても、それが事務所(弁護士)の意向に沿っていなければ、仕事ができない厄介者になってしまいます。どんなに頑張っても空回りしているだけなのです。
 あんな弁護士のためなんていやだ!と思うかもしれませんが、その弁護士が自分を採用してくれたのです。採用通知が来た時のことを思い出して恩返ししてみてはいかがですか。辞めるのはいつでもできますが、借りを作ったままではパラリーガルが廃ります。